自分で考え行動できる看護師を育てる
高度な先進医療を提供する当院では、基本的な知識・技術に加え、日々進化する医療に応じたより専門的な能力が看護師に求められます。さらに看護師の背景も年々多様化していることから、能力や理解度に応じた教育方法を検討する必要があります。当院では教育を専門に学習した教育専従者を教育実践室とキャリア開発センターそれぞれに配置し、全職員に対する支援体制を整えています。
教育専従者
特に力を入れていること
- 一人一人を大切にし、看護師としての第一歩を踏み出せるようにサポートします
- 自分の強み、弱みを認識し、課題を自分で考えて成長できるように促します
- 看護の面白さ、深みを感じられるように関わります
- なりたい自分を見つけられる機会を提供します
役割
- 大阪大学医学部附属病院看護部の「めざす看護師像」に向けた集合教育(段階別研修、キャリア開発研修)の企画・実施・評価
- 現場教育担当者との連携
- 臨地実習指導者との連携
- 看護職員のキャリア開発に関する支援
- 看護職員のメンタルヘルスに関する支援
教育概要
めざす看護師像
- 専門的知識・技術を持って対象の必要に応じて根拠に基づいたケアが提供できる
- 自己のキャリア開発に積極的に取り組み、自己の目標を達成することができる
- 人間性・社会性に富み、医療人、組織人としての責務を果たすことができる
現任教育概念図
当院におけるキャリア開発プログラムの概要
当院のキャリア開発プログラムはこれまでの段階別教育を中心とした教育を看護師の基本的な能力開発と捉え、さらに目標管理と関連させることによって、個人のキャリア開発に主眼を置いたものとしている。図の中央部分はクリニカルラダー、図の右側は院内段階別教育I・Ⅱ・Ⅲとキャリア開発センターにおける教育プログラム(キャリア開発研修)を示している。
クリニカルラダー
クリニカルラダーとは
看護師の臨床実践能力を段階別に示し、客観的に評価するもの
クリニカルラダーによる認定制度の目的
- 教育支援の基準にする
- 自己のキャリア開発の指標にする
クリニカルラダーの意義
- 看護師の臨床実践能力を高める
- 看護師としての将来像を明確化させる
- 患者中心とした看護の質の向上につなげる
- 個々の能力に応じた評価と目標設定、指導を行えるようにする(効果的な人材育成)
- 職業的な発達を教育的に支援する
クリニカルラダーの各レベルの到達目標
レベルⅠ | レベルⅡ | レベルⅢ | レベルⅣ | |
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到達目標 | 到達目標 | 到達目標 | 到達目標 | |
看護実践 | 指導のもとに記録用紙に沿った情報収集ができる | 問題のある領域に絞って選択的に情報収集ができる | 対象を、身体的、心理的、社会的側面から包括的に捉えることができる | 状況の全体を瞬時に直観的に捉えることができる |
基本的な看護学知識や医学的知識が習得できる | 看護学知識や医学的知識を活用できる(コミュニケーション技術や面接技術も含む) | |||
指導のもとに収集した情報から看護診断ができる | 妥当性のある看護診断ができる | 理論や経験的知識を活用し、個別性のある計画を立案できる | 潜在する問題や力を予測し、多様なアプローチを組み入れた計画を立案できる | |
指導のもとに標準看護計画に基づいた計画を立案できる | 標準看護計画に基づき優先度を考慮した計画を立案できる | |||
指導のもとに計画に沿って実践できる | 習熟した看護技術を活用し実践できる(救急蘇生の技術も含む) | 専門領域の技術を活用し実践できる(緊急時の対応も含む) | 知識・技術・経験を統合した実践ができる | |
基礎的な看護技術が正しく行える | ||||
指導のもとに日々のアセスメントとオ-ディットができる | オーディットし必要に応じて標準看護計画を修正できる | 患者の状況に応じて計画を変更し、実践できる | ||
指導のもとに看護記録の基本原則を遵守した記録ができる | 看護記録の基本原則を遵守し、看護過程を記録することができる | 患者の潜在的なニーズを充足できる看護が実践できる | ||
指導のもとに看護サマリ-を作成し、看護過程について振り返ることができる | 看護サマリ-を作成し、看護過程を評価できる | 自分の行った看護を評価し、フィードバックできる | ||
指導のもとに必要に応じて継続看護につなげることができる | 必要に応じて継続看護につなげることができる | |||
教育 | 看護職者として基本的な知識、技術が習得できる | 専門的な知識・技術が習得できる | 自己のキャリア開発に取り組むことができる | 専門性の高い知識・技術について教育できる |
自分自身でできることとできないことがわかる | 自己の課題を明確にできる | |||
院内・部署での教育計画に主体的に参加できる | 学生・後輩に対する指導ができる | 学生・後輩の成長を促進する効果的な指導ができる | 看護実践の役割モデルとなれる | |
教育的な関わりについて学ぶことができる | 部署で必要な教育計画を立て実践・評価できる | |||
管理 | 病院・看護部の理念・基本方針、部署の目標を理解し看護職者としての自覚を持つことができる | 自己の目標管理ができる | 部署で所属するグループの目標管理ができる | 看護師長と共に部署の目標管理ができる |
部署の特殊性と業務内容を理解できる | 部署において問題意識を持つことができる | 部署内での問題解決ができる | 変革の推進者となることができる | |
安全管理を理解し各種マニュアルに沿って実施ができる | 他職種・他部門との連携ができる | 他職種・他部門との協働ができる | 他職種・他部門との協働を推進することができる | |
指導のもとに院内の他職種・他部門との協働について理解し活用できる | 指導のもとに職場環境・療養環境の調整ができる | 職場環境・療養環境の調整ができる | 効果的・効率的に職場環境、療養環境を調整できる | |
病院情報システムと看護支援システムが活用できる | ||||
研究 | 院外の学会に参加している | 指導のもとに研究計画書が作成できる | 研究の中心メンバーとしてスタッフとともに取り組むことができる | |
指導のもとに文献検索ができる | 文献検索ができる | 研究をまとめて院外で発表することができる | ||
看護実践に活かすための文献を読むことができる | 部署の看護実践・教育・管理に活用できる文献を部署に提示できる | 研究成果を看護実践に活かすことができる | ||
部署における研究の指導ができる |
研修の枠組み
段階別研修 ~阪大病院看護部が求める看護師を育てる教育~
- 看護師に求められる基礎的な能力を育むことを目的とする
- クリニカルラダーのレベルⅡまでの看護師をクリニカルラダーのレベルに応じて教育する
- 「看護実践」「教育」「管理」「研究」の4領域を段階的に教育するプログラムで、集合教育と現場教育から構成される
- 個人、組織の目標管理サイクルと連動する
キャリア開発研修 ~看護の専門性を高める教育~
- 特定の専門分野で質の高い看護サ-ビスが提供できる能力を持った看護職者(エキスパート)を育成することを目的とする
- 自己の能力を積極的に高め、特定分野における高度な看護実践能力を持って他の看護職者のケア技術向上に資する看護職者の育成をめざす
- 他施設の看護職者にも学習の機会を与える
その他の研修
- 大学院進学などの支援
- 専門看護師教育課程への進学
- 認定看護師教育課程への進学
- 認定看護管理者のための研修受講
- 大学院修士課程、博士課程への進学
- 大阪大学の研修
- 英検、パワーポイントの作成・発表研修
- 職員教養研修
- 外国語研修
- Excel応用研修
- 学外技術研修
- TOEIC受験支援事業