DISEASES対象疾患

小児神経疾患


頭蓋骨縫合早期癒合症(狭頭症)ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう(きょうとうしょう)

頭蓋骨にはもともと骨縫合といわれる骨の継ぎ目があり、小児期はこの部分に新しい骨ができることで、頭蓋骨が大きく成長します。
しかし、この骨縫合の一部または全部が通常より早期に閉鎖してしまい、頭蓋骨が正常に大きくなれず、変形をきたす状態を頭蓋縫合早期癒合症(狭頭症)と呼びます。
閉鎖してしまった骨縫合の部位によって、頭蓋骨が変形し特徴的な形になります。

短頭蓋両側冠状縫合の早期癒合により、頭の前後径が短くなります。
舟状頭蓋矢状縫合の早期癒合により、前後径が長くなります。
斜頭蓋片方の冠状縫合の早期癒合により、おでこに左右差があり頭蓋が斜めに歪んだ形になります。
三角頭蓋前頭縫合の早期癒合により、額が狭く船首状に突出します。
これらの形態変化に加え、頭痛や発達障害などの機能的な障害が起こることがあります。
症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症
(クルーゾン病、アペール症候群、ファイファー症候群など)

このような疾患では、頭蓋骨の変形だけでなく、顔面骨の変形も伴い水頭症なども合併する場合があります。
また、手足の骨変形も伴う場合があり、早期より専門的な治療が必要となります。
成長に応じて必要な治療を行っていく必要があり、形成外科などとも連携して治療を行っていく場合もあります。
診察と頭部のCTで診断および治療方針を決定しますが、基礎疾患を調べるためにMRIや遺伝子の検査を行うこともあります。
一般的な治療
治療は外科的治療になりますが、方法としては変形している頭蓋骨を切り出し、変形を矯正し正常な形状に戻すと同時に、脳の入る容積を広げる手術をします。
手術は全身麻酔で、従来法と呼ばれる閉鎖してしまった縫合を切り離して拡げる方法と、骨延長術と呼ばれる器械を用いて、数mmずつ徐々に拡げる方法があります。これらの手術法は各々の頭の形や年齢・骨の厚さに合わせて最適なものを選びますが、症状や年齢に応じて複数回の手術が必要になる場合もあります。




水頭症すいとうしょう

脳脊髄液は脳室内の脈絡叢というところで産生され、脳内を循環しています。水頭症とは、脳の中に脳脊髄液が過剰に蓄積し脳に悪影響を及ぼす状態を指し、新生児および乳児の場合は、脳の働きに悪影響を与え、発達を阻害します。
水頭症は発生原因によって原発性水頭症と続発性水頭症に分類されます。
原発性水頭症は赤ちゃんがお母さんのお腹の中で、形作られる過程において何らかの異常が発生し生じた水頭症です。
続発症水頭症は脳が形成された後に何らかの出来事、すなわち出血したり、感染が起こったり、脳腫瘍に伴ったりした際に起こってくるものです。
一般的な治療
水頭症の原因は様々であり、その程度や合併する疾患によって治療法は異なるため、まず専門的な小児神経外科医の診断と治療が必要です。
先天性水頭症に対する手術治療としては、脳室腹腔短絡術(V-Pシャント)と言われるものが一般的です。これは,脳脊髄液の流れる経路を新たに作る、いわゆるバイパスのようなものです。シャントシステムというカテーテルとバルブを脳室内、皮下、腹腔内に埋め込む手術ですが治療後は他の子供達と同じように日常生活や学校へ行くことも可能です。症例によっては、神経内視鏡を使用して髄液の循環路を形成し、体に留置する異物を出来るだけ少なくして治療する場合もあります。
当院での治療
出生前に見つかった場合は、産科および新生児科の先生方と協力し、水頭症の状態や治療法、今後の可能性について、生まれる前にご両親にお話ししております。出生後は当院NICU(新生児集中治療室)にて治療を行います。
当院ではNICUおよび小児医療センタースタッフがガイドラインを基に一貫した治療を行っており、小児水頭症治療で問題になる感染に関しても、小児医療センター発足後はほとんどありません。脳室腹腔短絡術に関しても、内視鏡的技術を併用しシャント機能不全を減らす試みを行っております。




脊髄脂肪腫せきずいしぼうしゅ

潜在性二分脊椎症ともいわれます。脊髄が正常に形成されず、脊髄の一部に脂肪が付着して皮膚や筋肉等の周囲組織と連続している状態です。
腰仙部に好発し、脂肪腫による圧迫や、脊髄が周囲組織と癒着しているため、身長が伸びる際に引き延ばされて障害(脊髄係留)が起こり、排泄障害や下肢のしびれ・疼痛や機能低下などの症状が現れることがあります。
出生後~幼児期に腰部やおしりの周辺の皮膚異常(隆起、陥凹、血管腫、異常毛髪など)でみつかることが多く、エコーやMRIで診断を行います。
一般的な治療
無症状の場合は、脂肪腫の種類や脊髄係留の程度にもよりますが、症状が現れる前に予防的に脊髄の癒着を解除する手術を行うことがあります。
一方、症状がある場合は、その進行予防を目的として手術を行います。手術は全身麻酔下に腹臥位(うつ伏せの状態)で病変がある部位の皮膚を切開し、神経を傷つけないよう注意しながら脊髄とその他の組織を切り離します。
脊髄空洞症を合併する場合は、空洞くも膜下腔短絡術が行われることがあります。
当院での治療
当院では、術中に神経を傷つけない目安として、肛門括約筋や下肢の筋肉の状態を機械で観察(モニタリングと呼ばれます)することを行い、手術の安全性を高めています。
膀胱直腸障害の診断・治療に関しても、泌尿器科や小児外科専門医と連携し、検査や治療を行っております。
また、再係留の可能性は成長してからも可能性があり長期的な経過観察が必要です。
外科的治療を行った場合はもちろん、選択しない場合も長期的に外来通院して頂いております。




脊髄髄膜瘤せきずいずいまくりゅう

顕在性(開放性)二分脊椎症といわれることもあります。妊娠初期に神経形成の異常が起こり、多くは背中からおしりの一部で皮膚や筋肉が欠損して、脊髄や脊髄を守る膜の一部が出生時に露出している状態です。
症状は髄膜瘤の位置(高さ)によって変わりますが、おもに下肢の運動麻痺・感覚障害および変形、排泄障害(便や尿の排泄がうまく調節できず、自力で全く出すことができなかったり、逆に漏れっぱなしの状態になる)があります。
また、多くの患者さんで脳に水が多くたまる水頭症(水頭症)と、小脳と脳幹の一部が下垂して脊柱管に嵌まり込むキアリⅡ型奇形という病態を合併し、これらについても程度によって治療が必要になります。
一般的な治療
髄膜瘤に対しては、神経組織が露出している部分から感染をおこす可能性があり、出生後2、3日以内に脳神経外科医による瘤の閉鎖手術が必要です。
この疾患の9割には水頭症が合併しますが、髄膜瘤閉鎖後にも脳室拡大が進行する例には、脳室内の髄液を持続的に腹腔内に流すための手術(脳室-腹腔シャント:VPシャント)を追加で行います。
当院での治療
当院では、産婦人科および小児科と密接に連携し、出生前カウンセリングを積極的に行い、多くの重症例や難治例に対応しております。
当院胎児診断治療センターとともに胎児治療への試みも行っております。
その後、発達に関しては小児科、下肢の麻痺・変形や側弯症は整形外科と、排泄障害については泌尿器科、排便障害に関しては小児外科と連携をとり、関連施設と連携し各々の症状に応じて必要なリハビリテーションや治療を行っています。
また、水頭症の経過や再係留により発達・成長中にも症状が悪化する可能性があり、長期的な経過観察が必要です。


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