精神科領域専門医研修プログラム

2017年春現在の暫定プログラムなのでご参考ください。専門医制度の正式開始時に改めて案内します。

詳しい内容はPDFでもご覧いただけます。

専門研修プログラム名 大阪大学医学部附属病院連携施設 精神科専門医研修プログラム
プログラム担当者 氏名 数井 裕光・(田中 稔久)
住所 〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2、D3
電話番号 06-6879-3051
FAX 06-6879-3059
E-mail kazui@psy.med.osaka-u.ac.jp
専攻医の募集人数 10人
専攻医の募集時期 随時(専門医制度開始時期に合わせて決定します)
応募方法 書類はWordまたはPDFの形式にて、 E-mailにて提出してください。
電子媒体でのデータのご提出が難しい場合は、郵送にて提出してください。
  • E-mailの場合:
    kazui@psy.med.osaka-u.ac.jp 宛に添付ファイル形式で送信してください。
    その際の件名は、「専門医研修プログラム-の応募」としてください。
  • 郵送の場合:
    〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2、D3 数井裕光(医局長)宛にご自身で簡易書留にて郵送してください。また、封筒に「専攻医応募書類在中」と記載してください。
提出期限 2017年 10月 31日 必着
採用判定方法 一次判定は書類選考で行います。そのうえで二次選考は面接を行います。科長・診療局長が履歴書および記載内容と面接結果に基づき厳正な審査を行い、採用の適否を判断します。

I 専門研修の理念と使命

1. 専門研修プログラムの理念(全プログラム共通項目)

精神科領域専門医制度は、精神医学および精神科医療の進歩に応じて、精神科医の態度・技能・知識を高め、すぐれた精神科専門医を育成し、生涯にわたる相互研錆を図ることにより精神科医療、精神保健の向上と社会福祉に貢献し、もって国民の信頼にこたえることを理念とする。

2. 使命(全プログラム共通項目)

患者の人権を尊重し、精神・身体・社会・倫理の各面を総合的に考慮して診断・治療する態度を酒養し、近接領域の診療科や医療スタッフと協力して、国民に良質で安全で安心できる精神医療を提供することを使命とする。

3. 専門研修プログラムの特徴

大阪大学精神医学教室は講座開設以来120年を超える歴史と伝統をもち、臨床から研究に至る幅広い領域において精神医学の発展に大きな功績を残してきた。現在も日本の精神医療を牽引する存在として、医局員は幅広い領域で活躍している。
基幹病院となる大阪大学医学部附属病院 神経科・精神科は、52床のベッドを有し、閉鎖病棟(38症)、開放病棟(14床)、隔離室(4床)、と十分なスペースを確保しており、統合失調症およびうつ病などの難治症例、身体合併症例などほとんどのケースに対応している。また、認知症の専門的な診断についても幅広く対応している。専攻医は入院患者の主治医となり、指導教官の指導を受けながら、看護、心理、リハビリテーションの各領域とチームを組み、各種精神疾患に対し生物学的検査・心理検査を行い、適切な診断のうえで、薬物療法、精神療法、修正型電気痙攣療法などの治療を柔軟に組み合わせ最善の治療を行うことになる。研修の過程でほとんどの精神疾患の診断と治療についての基礎的な、そして実践的な知識を身につけることが可能である。
また、大阪府立急性期・総合医療センター、大阪市立総合医療センター、大阪医療センター、箕面市立病院、市立豊中病院、大阪警察病院、住友病院、日生病院、NTT西日本病院、地域医療機能推進機構大阪病院(JCHO大阪病院)、関西労災病院、といった近畿圏の主要な総合病院を連携施設として有しており、身体合併症を有する精神疾患およびリエゾン精神医学を中心とした精神医療の研鑽を行うことが可能である。さらに、大阪府立精神医療センター、浅香山病院、榎坂病院、清風会茨木病院、箕面神経サナトリウム、ためなが温泉病院、阪和いずみ病院、和泉丘病院、大阪さやま病院、小阪病院、国分病院、美原病院、水間病院、吉村病院、七山病院といった大阪府内の主要単科精神病院を連携施設として有しており、地域の精神医療、司法精神医学、児童精神医療、地域型認知症センターにおける精神科臨床などの研鑽を行うことが可能である。専攻医はこれらの施設をローテートしながら、臨床精神科医として幅広い能力を向上させつつ、専門医を獲得することが可能である。
精神医学は、今まで心の科学、脳神経科学の進歩に伴い、生物学的理解が著しく進歩したと考えられるが、大阪大学精神医学教室はまず第一にこのような先端の自然科学的知識を大切に考えており、専攻医に対しては例えば認知症の診断の進歩、精神医学における分子生物学的損保などを含めた新しい知識の共有と理解に務めたいと考えている。さらに、精神医学は極めて幅広い領域を包含しており、そこには生物学的、心理学的、社会的な次元に加え、実存的・哲学的問題も関与している。大阪大学精神医学教室では精神医学の核となる精神病理学的知識を背景とした議論を行い、そもそもの人間存在に対する理解を深化させるべく努めたいと考えている。つまり、自然科学的・生物学的な理解と、人文科学的・精神病理学的理解と、およびその他のアングルとから脳と心にアプローチすることを経験することで、幅広く深みのある精神科医を育成したいと考えている。その結果として、乳幼児から児童・思春期、壮年期、老年期に至る人間のライフステージすべてにおいて包括的な理解を深め、精神科医として質の高い臨床能力を培っていただくことが可能と考えている。

II 専門研修施設群と研修プログラム

1. プログラム全体の指導医数・症例数

プログラム全体の指導医数: 94 1/2 人

昨年一年間のプログラム施設全体の症例数

疾患外来患者数
(年間)
入院患者数
(年間)
F0 器質性精神障害など 9309 2431
F1 精神作用物質使用 1553 797
F2 統合失調症など 20656 5258
F3 気分障害 13100 2315
F4 F50(成人)神経症性障害など  7081 450
F4 F7 F8 F9 F50 児童・思春期 4032 435
F6(成人)成人の人格及び行動 825 127
その他 3931 548

2. 連携施設名と各施設の特徴

A:研修基幹施設

  1. 大阪大学医学部附属病院

B:研修連携施設

  1. 大阪府立急性期・総合医療センター
  2. 大阪市立総合医療センター
  3. 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(大阪医療センター)
  4. 箕面市立病院
  5. 市立豊中病院
  6. 大阪警察病院
  7. 一般財団法人住友病院
  8. 日生病院
  9. NTT西日本大阪病院
  10. 独立行政法人地域医療機能推進機構大阪病院
  11. 関西労災病院
  12. 地独)大阪府立病院機構 大阪府立精神医療センター
  13. 公益財団法人 浅香山病院
  14. 医療法人松柏会 榎坂病院
  15. 医療法人清風会 茨木病院
  16. 医療法人社団 澄鈴会 箕面神経サナトリウム
  17. 医療法人清順堂 ためなが温泉病院
  18. 阪和いずみ病院
  19. 和泉丘病院
  20. 大阪さやま病院
  21. 社会福祉法人天心会 小阪病院
  22. 医療法人養心会 国分病院
  23. 好寿会 美原病院
  24. 医療法人河﨑会 水間病院
  25. 医療法人敬寿会 吉村病院
  26. 七山病院

3. 研修プログラム

1) 年次到達目標

専攻医は精神科領域専門医制度の研修手帳にしたがって専門知識を習得する。研修期間中に以下の領域(研修手帳に準拠)の知識を広く学ぶ必要がある。 1.患者及び家族との面接、 2.疾患概念の病態の理解、 3.診断と治療計画、 4.補助検査法、 5.薬物・身体療法, 6.精神療法、 7.心理社会的療法など、 8.精神科救急、 9.リエゾン・コンサルテーション精神医学、 10.法と精神医学、 ll.災害精神医学、 12.医の倫理、 13.安全管理。各年次毎の到達目標は以下の通りである。

到達目標

1年目:
基幹病院または連携病院で、指導医と一緒に統合失調症、気分障害、器質性精神障害(特に認知症)の患者等を受け持ち、面接の仕方、診断と治療計画、薬物療法及び精神療法の基本を学び、リエゾン・精神医学を幅広く経験する。とくに面接によって情報を抽出し診断に結びつける基本的な作法を身につけるとともに、良好な治療関係を構築し維持することを学ぶ。基幹病院では専攻医向けの以下のクルズス(教育講習)が設けられているので、これに参加して必須知識を習得する。

Ⅰ 患者および家族との面接 病歴と症状評価
Ⅱ 診断と治療計画(1) 診断分類
Ⅲ 診断と治療計画(2) 自傷他害と入院の必要性
Ⅳ 補助検査法 CT、MRIの読影と判読
脳脊髄液検査の施行、結果の判読
脳波検査及び判読
心理検査の依頼と実施・判読
Ⅴ 薬物・身体療法
Ⅵ 精神療法(1)
Ⅵ 精神療法(2)
Ⅶ 心理社会的療法、精神科リハビリテーション、及び地域精神医療・保健・福祉
Ⅷ 精神科救急
Ⅸ リエゾン・コンサルテーション精神医学
Ⅹ 法と精神医学
ⅩⅠ 医の倫理

なお、近畿精神神経学会での症例発表を行っていただく。

2年目:
基幹病院または連携病院で、指導医の指導を受けつつ、自立して面接の仕方を深め、診断と治療計画の能力を充実させ、薬物療法の技法を向上させ、精神療法として認知行動療法と力動的精神医学の基本的考え方と技法を学ぶ。精神科救急に従事して対応の仕方を学ぶ。都合失調症、気分障害、認知症にとどまらず、神経症性障害、摂食障害など様々な精神科疾患の診断・治療を経験する。ひきつづき精神療法の修練を行う。近畿精神神経学会での症例発表を奨励し、さらに他の学会での発表・討論も奨励する。

3年目:
指導医から自立して診療できるように努力していただくことと、各専攻医の志向に依拠した方向性を確立していただく。連携病院は後述のように専門性の高い基幹施設が存在すので、幅広い選択肢の中から専攻医の志向を考慮して選択する。認知症の画像診断、認知症の神経心理学的評価とバイオマーカーによる鑑別、BPSDへの対応、統合失調症の病状評価と治療、うつ病の病状評価と社会心理学的理解、精神科リハビリテーション・地域精神医療等を充分学習する。近畿精神神経学会での症例発表を奨励し、さらに他の学会での発表・討論も奨励する。

2) 研修カリキュラムについて

研修カリキュラムは、「専攻医研修マニュアル」、「研修記録簿」を参照のこと。

3) 個別項目について

  1. 倫理性・社会性
    基幹施設において他科の専攻医とともに研修会が実施される。コンサルテーションリエゾンを通して身体科との連携を持つことによって医師としての責任や社会性、倫理観などについても多くの先輩や他の医療スタッフからも学ぶ機会を得ることができる。
  2. 学問的姿勢
    専攻医は医学・医療の進歩に遅れることなく、常に研鎮自己学習することが求められる。すべての研修期間を通じて与えられた症例を院内の症例検討会で発表することを基本とし、その過程で過去の類似症例を文献的に調査するなどの姿勢を心がける。その中で特に興味ある症例については、近畿精神神経学会などでの発表を進める。
  3. コアコンビテンシーの習得
    研修期間を通じて、 1)患者関係の構築、 2)チーム医療の実践、 3)安全管理、 4)症例プレゼンテーション技術、 5)医療における社会的・組織的・倫理的側面の理解、を到達目標とし、医師としてのコアコンビテンシーの習得を目指す。さらに精神科診断面接、精神療法、精神科薬物療法、リエゾンコンサルテーションといった精神科医特有のコンビテンシーの獲得を目指す。これに関しては、「医の倫理」のクルズスの中で、現在もそうであるが過去には精神病者が社会的にきわめて弱者であった歴史を理解する中で、病んだ者にに対峙する医師の行動規範を考えていただく。
  4. 学術活動(学会発表、論文の執筆等)
    基幹施設において臨床研究、基礎研究に従事しその成果を学会や論文として発表する。基幹病院(大学)では神経化学グループ、神経心理グループ、認知精神生理グループ、脳波睡眠グループ、精神病理グループ、と各専門の研究グループが存在するので、各グループより必要に応じて指導を受けて、学術的成果を上げられるように努力する。

4) ローテーションモデル

典型的には1年目に基幹病院Aをローテートし、精神科医としての基本的な知識を身につける。2-3年目には総合病院精神科(B①~⑪)、単科精神科病院(B⑫~㉖)を各1年ずつローテートし、身体合併症治療、難治・急性期症例、児童症例、認知症症例を幅広く経験し、精神療法、薬物療法を主体とする治療手技、生物学的検査・心理検査などの検査手法、精神保健福祉法や社会資源についての知識と技術を深めていく。これら3年間のローテート順については、本人の希望に応じて柔軟な対応が可能である。特に今回記載した連携施設の中では、児童専門機関(②大阪市総合医療センター、⑫大阪府立精神医療センター(松心園))、司法精神医学専門機関(⑫大阪府立精神医療センター(医療観察法入院・通院病院)、認知症専門機関(⑬浅香山病院(認知症センター(地域型))、⑳大阪さやま病院(認知症センター(地域型)、㉔水間病院(認知症センター(地域型))、アルコール専門機関(⑱阪和いずみ病院)との連携が行われているので、専攻医の希望により各々の専門性の高い研修を受けることが可能となっている。場合により半年単位での研修も想定しており、その場合、1・2年目に基本となる基幹病院Aと総合病院B(B①~⑪)を1年ずつ研修した後に、残り1年(場合により3年まで延長)を、上述の専門機関の中から本人の志向にあわせて半年から1年単位でローテーションすることも可能である。さらにリサーチ志向の髙い専攻医に対しては、1年の研修の後に大学院入学というパターンも可能である。主なローテーションパターンについて、別紙1に示す。

5)研修の週間・年間計画

別紙2と別紙3を参照。

4.プログラム管理体制について

プログラム管理委員会 委員長 医師:数井 裕光
医師:数井 裕光
医師:岩瀬 真生
医師:田上 真次
医師:小笠原 將之
医師:山森 英長
看護師:岡野 照美
精神保健福祉士:杉岡 まどか
プログラム統括責任者 数井 裕光(田中 稔久)

連携施設における委員会組織
各連携病院の指導責任者および実務担当の指導医によって構成される。

5.評価について

1)評価体制

大阪大学医学部付属病院:数井 裕光(田中 稔久)
大阪府立急性期・総合医療センター:松永 秀典
大阪府立精神医療センター:岩田 和彦
大阪市立総合医療センター:飯田 信也
浅香山病院:谷口 典男
清風会茨木病院:高橋 大輔

2) 評価時期と評価方法

  • 3か月ごとに、カリキュラムに基づいたプログラムの進行状況を専攻医と指導医が確認し、その後の研修方法を定め、研修プログラム管理委員会に提出する。
  • 研修目標の達成度を、当該研修施設の指導責任者と専攻医がそれぞれ6ケ月毎に評価し、フィードバックする。
  • 1年後に1年間のプログラムの進行状況並びに研修目標の達成度を指導責任者が確認し、次年度の研修計画を作成する。またその結果を統括責任者に提出する。
  • その際の専攻医の研修実績および評価には研修記録簿システムを用いる。

3) 研修時に則るマニュアルについて

「研修記録簿」に研修実績を記載し、指導医による形成的評価、フィードバックを受ける。総括的評価は精神科研修カリキュラムに則り、少なくとも年1回行う。

大阪大学医学部付属病院にて専攻医の研修履歴(研修施設、期間、担当した専門研修指導医)、研修実績、研修評価を保管する。さらに専攻医による専門研修施設および専門研修プログラムに対する評価も保管する。

プログラム運用マニュアルは以下の専攻医研修マニュアルと指導医マニュアルを用いる。
・専攻医研修マニュアル
・指導医マニュアル

専攻医研修実績記録
「研修記録簿」に研修実績を記録し、一定の経験を積むごとに専攻医自身が形成的評価をおこない記録する。少なくとも年に1回は形成的評価により、指定された研修項目を年次ごとの達成目標に従って、各分野の形成的自己評価を行う。研修を修了しようとする年度末には総括的評価により評価が行われる。

指導医による指導とフィードバックの記録
専攻医自身が自分の達成度評価をおこない、指導医も形成的評価をおこない記録する。少なくとも年1回は指定された研修項目を年次ごとの達成目標に従って、各分野の形成的評価をおこない評価者は「劣る」、 「やや劣る」の評価をつけた項目については必ず改善のためのフィードバックをおこない記録し、翌年度の研修に役立たせる。

6. 全体の管理運営体制

1) 専攻医の就業環境の整備(労務管理)

各施設の労務管理基準に準拠する。

2) 専攻医の心身の健康管理

各施設の健康管理基準に準拠する。

4) プログラムの改善・改良

基幹病院の統括責任者と連携施設の指導責任者による委員会にて定期的にプログラム内容について討議し、継続的な改良を実施する。

4) FDの計画・実施

年1回、プログラム管理委員会が主導し各施設における研修状況を評価する。