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末梢血管疾患

末梢血管領域に対する治療は今世紀に入り、大動脈瘤に対するステントグラフト治療に代表されるような血管内治療の発展で飛躍的に進歩しました。末梢血管領域でも閉塞性動脈硬化症に対する経皮的血管拡張術、ステント留置術は骨盤部領域の第一選択に、大腿領域でも最初に行われる治療となりつつあります。しかし、複雑病変や膝から下の領域では血管内治療だけでは満足な結果を得るには至らず、逆に血管内治療だけにこだわるあまり最善の治療法や治療タイミングを逸してしまう危険すらあるのが現状です。

当科では血管内治療、外科的治療、薬物療法など現在可能とされるすべての治療法が可能で、組み合わせの中で最良の治療法を選んで、可能な限り日常生活への支障ない復帰を目指しています。

一方、血管新生療法は今後下肢虚血治療の1つの選択肢になる可能性が非常に期待できますが、現状では定形的治療法として安定した結果を出すには至っていません。当科でも複数の研究に関わってきました。これらは近い将来、実臨床での使用を考えています。

頚動脈狭窄症

頸部の頸動脈分岐部に動脈硬化により血管の狭窄を生じ、脳梗塞を起こす原因となりうる疾患です。

頸動脈超音波検査によって、有症候性で50~99%、無症候性で70~99% の狭窄が診断されれば治療が必要です。

治療法には頸動脈血栓内膜剥離術(CEA)と頸動脈ステント留置術(CAS)があります。安全に脳梗塞を予防することが治療の目標であり、現状、CASでは周術期脳梗塞の発生率が高く、CEA が優れていると言えます。しかしCEAのリスクが高い症例もあり、個々の症例によって治療法を選択する必要があります。

経皮的血管形成術(CAS)

内臓動脈瘤

腹部内臓動脈瘤

腹部内臓動脈瘤は比較的稀な末梢動脈瘤ですが、正常径の倍を超えると壁は薄くなり、破裂することや中に血栓ができ、それが飛んで塞栓症を起こすことがあります。近年血管内治療も増えてきていますが、瘤の場所によってはバイパス手術が必要となることもあります。

急性腸間膜動脈閉塞症

急性腸間膜動脈閉塞症は特徴的な臨床症状に乏しく、急激な腸管の広範囲な虚血性変化による壊死、穿孔が発生するために、その救命率は極めて低い疾患です。原因としては心房細動などにより塞栓症や動脈解離などがあります。腸梗塞が起こる前に診断および治療を行えば、死亡率は低く治療できますが、腸梗塞が起こってしまうと死亡率は70〜90%に達します。最近では速やかに治療が可能な血管内治療での血行再建が優先される傾向がありますが、腸梗塞が疑われる場合には腸切除も必要となるため、バイパス術による血行再建が行われることもあります。

急性下肢虚血

下肢の血流が急激に低下する病態です。

慢性的な血管病変(閉塞性動脈硬化症など)の増悪で最終的に閉塞する場合(血栓症)と、塞栓物質(心房細動や中枢側動脈で作られた血栓、外傷による塞栓物)により血管が詰まってしまう場合(塞栓症)があります。症状は急激な下肢の冷感、疼痛で、進行すると知覚異常、運動麻痺が出現します。塞栓症の方が重症化しやすいですが、いずれも早急な血行再建が必要になります。

血行再建は、病態により、薬物療法で対応可能な場合から速やかな手術による血行再建が必要になるものまであります。

虚血の程度が重いと、壊死に陥ることや、運動障害、感覚障害が残ることがあります。
当科では、より迅速な対応をすべく、関連病院との連携を密にし、診断から治療開始までに費やす時間を最小限にするようネットワークの強化を行っています。

右下肢急性虚血

末梢動脈閉塞性疾患

近年、生活習慣の欧米化などにより糖尿病、慢性腎臓病(透析)患者さんの数は増加しています。これに伴い、末梢動脈疾患(PAD: peripheral arterial disease)の患者さんも増加しています。

PADとは、動脈硬化により主に下肢の動脈が狭窄・閉塞し、循環障害をきたす病気です。血流が悪くなることで歩行障害・下肢安静時痛・足趾難治性潰瘍などの症状があり、QOL(quality of life; 生活の質)を低下させます。初期には間欠性跛行(一定距離歩くと足が痛くなり、休むと回復する。また同程度歩くと足が痛くなる。)が典型的症状ですが、進行すると次第に歩行距離が短くなり、休んでいる時、安静時でも疼痛が出るようになります。さらに進行すると足趾潰瘍、壊死に陥ります。

通常、虚血状態では疼痛を伴うため、潰瘍、壊死に陥る前に発見されますが、糖尿病患者さんでは末梢神経障害で疼痛感覚が鈍麻していることがあるため、壊死に陥ってから見つかることもあります。

また、動脈硬化は全身性疾患であり、冠動脈疾患・脳血管疾患を合併することが多く、生命予後を低下させることも知られています。

カテーテル治療


左 : 下肢動脈バイパス術(大腿-膝窩動脈)
右 : Distal bypass術(大腿-後脛骨動脈)

末梢動脈瘤

四肢の動脈が瘤化する病態です。大動脈瘤と異なり破裂の危険より血栓塞栓源になる危険が高く、形態によっては予防的治療が必要になることがあります。
一般的に血管内治療では対応が難しく、血管外科的治療が可能な施設での対応が必要になります。当科および関連施設ではこれらの対応に十分な経験を有しています。

  • 膝窩動脈瘤
  • 外膜嚢腫
  • 膝窩動脈捕捉症候群

胸郭出口症候群

胸郭出口で神経や血管が圧迫されて生じる一連の症状をいいます。解剖学的変異のある者において、交通事故、スポーツなどによる外傷をきっかけに発症することが多いといわれています。神経性(97%)、静脈性(2%)、動脈性の3型に分けられ、血行障害に至ってしまうと神経学的障害が改善しにくい可能性もあり、早期診断、治療が必要です。

鎖骨上の前斜角筋部の圧痛、上肢90°外転外旋での上肢痛の増強や橈骨動脈の拍動減弱がみられる。単純X線検査で頸肋の存在や、鎖骨・第1 肋骨の形成異常、鎖骨・肋骨の仮骨形成などで診断されます。治療としては圧迫部位の切除を行い、バイパス術や塞栓の原因となる部位の切除が必要となります。

深部静脈血栓症

皮膚の表面から見える血管ではなく、手足を含む臓器の深い部分にある静脈を深部静脈といいます。その深部静脈に血の塊(血栓)を生じる病気を「深部静脈血栓症」といいます。解剖学的な理由により、下肢に生じることがほとんどです。下肢に深部静脈血栓症を生じると、血流障害を生じますので、通常足のはれや痛み、発赤(赤くなる)の症状で発症します。深部静脈血栓症は急性におこりますが、その原因としては手術、安静(不動)などのイベントや、ホルモン剤、ステロイドなどの薬剤、血液が固まりやすい疾患である先天性血栓性素因や膠原病が知られています。

大腿部の静脈内血栓(CT画像)

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤は、足の表面の血管がコブ状に膨らむ病気で、長時間の立ち仕事や妊娠後の女性にできやすい病気です。
足のむくみ、重だるさやこむら返り(足がつる)といった症状を引き起こします。長年放っておいても生命に関わる危険性はありませんが、皮膚の色が変色して硬くなり、皮膚に穴(潰瘍)ができてしまうこともあります。治療としてまずは立ち仕事の軽減や弾力性のあるストッキングを着用してもらいます。それでも症状の改善がなければ手術療法となります。最近では血管内焼灼術というカテーテルでの治療が可能となりました。
日帰りや短期入院で手術を行うことができ、術後早くから通常通りの日常生活をおくることが可能です。

下肢静脈瘤

バスキュラーアクセス

透析患者さんは30万人以上存在し、そのほとんどの方は血液透析による治療をうけられています。血液透析を安全に継続するには良好なバスキュラーアクセスの作成および維持管理が重要です。
また、スチール症候群や静脈高血圧などバスキュラーアクセス関連合併症でお困りの透析患者さんの治療も関連病院にて対応いたしますのでお気軽にご相談ください。
当科および関連病院では可能な限り自己血管を用いたバスキュラーアクセスの作成に務めております。

関連病院

吹田徳洲会病院 血管外科

大阪労災病院 末梢血管外科

豊中市立病院 心臓血管外科

JCHO星ヶ丘医療センター 血管外科

神戸掖済会病院 外科

日本生命病院 心臓血管外科

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