最先端医療の提供

再生医療

外来担当医

筋芽細胞シート(成人)
筋芽細胞シート(小児)
新しい人工弁治療(小児)

未来へ向けて、最先端の心血管疾患の治療の開発を

筋芽細胞シート(ハートシート)

自家骨格筋由来筋芽細胞シートは2003年に当科にて開発され、2007年からヒトへの臨床研究が始まりました。これまで約50例の重症心不全の患者さんに本治療を行い、心不全に対する効果が明らかになりました。そして企業治験や医師主導型治験を経て、2015年9月に世界初の心筋再生治療製品として保険収載されました(ハートシート)。現在はハートシートの適応拡大のため、医師主導治験(成人・小児)を臨床研究と並行して行っております。今後、この治療の効果を更に高めるために、さらなる基礎的・臨床的研究を進めております。

筋芽細胞シート移植後の自覚症状の推移

虚血性心筋症

拡張型心筋症

虚血性心筋症における心機能改善効果

iPS心筋細胞シート

iPS細胞を用いた心臓血管治療の開発と実現

iPS細胞を用いた「iPS心筋細胞シート」は従来の細胞シートの働きに拍動する性質が加わり、心筋補充療法としての役割があり、大動物実験ではすでに心機能の改善に有効であることが示されております。

京都大学CiRAとの共同研究により、ヒトに用いるためのiPS細胞を提供いただき、産・学・官の連携を密に取りながら、ヒトへの臨床応用のために準備を進めています(AMED 再生医療実現拠点ネットワークプログラム((拠点A)iPS細胞を用いた心筋再生治療創成拠点)。

また阪大工学部とも連携して3Dプリンターによる3D-iPS心筋を開発しております。このように作成した3次元組織を治療に用いたり、薬の評価に使用することが期待されております。そう遠くない将来には3Dバイオ心臓が生まれているかもしれません。

この他にも、企業と連携して新しい薬や他の細胞を用いた治療法を開発しております。

産・学・官の連携を密に取りながら、現在から未来へ向けて、最先端の、心疾患の治療の開発をおこなってゆきます。

小児心不全患者に対する再生医療(筋芽細胞シート)

小児期に発症する心疾患のうち、心臓移植を受けなければ助からないような重症化する心筋の病気があります。「拡張型心筋症」を代表とする「心筋症」がそのような心臓病の一つとなります。拡張型心筋症による心不全症状を改善させるためには、まずは内服薬の治療を行います。それでも、根本的な心筋の治療ができるわけではありませんので、重症化すると、心臓移植を考えなければなりません。子供さんへの補助人工心臓治療も積極的に行ってはいますが、心臓移植への橋渡しのための治療ですので、やはり、心臓の機能を回復させることはできません。

再生医療は、心筋に直接作用し、心機能を改善させる可能性のある治療として期待されています。大阪大学では、自分自身の骨格筋(足から採った筋肉)から筋芽細胞をシート状にして、心臓表面に貼ることで心機能の改善を図ろうとする、筋芽細胞シート移植治療を開発してきました。2015年9月に「ハートシート」として、保険診療をすることに成功しました。この治療を、子供さんの「拡張型心筋症」にも適応拡大しようと、現在、*臨床試験(医師主導治験)を実施しています。治験終了後には小児の心不全患者さんにも保険診療で、この治療が行えるように開発していく予定です。

心不全治療でお困りのお子さんがいる場合には、是非ご相談ください。


  • AMED(日本医療研究開発機構)難治性疾患実用化研究事業により支援

新しい人工弁治療

脱細胞化ヒト心臓弁の移植に関する安全性及び有効性の研究

先天性心疾患の患者さんに代表されるように、若年時に心臓弁手術を必要とする患者は年々増加している現状があります。現在、保険償還されている人工弁は約10年程度で再手術が必要となる可能性があります。このことから、耐久性の高い、新しい心臓弁に対する医療ニーズは非常に高いと考えられます。

新鮮脱細胞化心臓弁は細胞工学の手技を用いて作成され、移植後の拒絶反応が起きにくく、さらに、移植後にレシピエント自身の細胞が脱細胞弁に入り込み、生着して自己組織化することで弁の機能を維持することが報告されています。

新鮮脱細胞化心臓弁

さらに、臨床において既存の他の人工弁と比較し、良好な成績が報告されています。このことは、脱細胞化心臓弁を使用した新たな手術術式が確立される可能性を秘めていると考えられています。

大阪大学大学院医学系研究科外科学教室(心臓血管外科学)では、2013年より、大阪大学医学部附属病院にて、先天性心疾患術後肺動脈弁機能不全患者 (※2) に対して、新鮮脱細胞化ヒト心臓弁を使用した心臓弁移植手術の臨床研究を行っています。

2014年10月には、ドイツ・ハノーファー医科大学との共同研究においてドイツにて摘出、作成された脱細化心臓弁の日本初となる移植手術を行いました。

また、最近の2例で使用した心臓弁は、大阪大学にて行われた心臓移植の際レシピエント (※3) より提供されたものです。脳死下心臓移植の際にはレシピエントの心臓は心臓弁とともに摘出されますが、心臓の筋肉の病気のために心臓移植が必要であっても、心臓弁の機能は正常であることが多いとされています。

脳死下心臓移植時に摘出される心臓弁を用いた脱細胞弁を利用することは、医療資源の観点からも非常に重要であると考えられ、本治療法の普及に、また一歩近づいたといえる症例になりました。

また、他のデバイスと比較し再手術の必要性も減少することが考えられ、医療費の削減にも繋がることが予想されます。また、脳死下心臓移植時に摘出される心臓弁を用いた脱細胞弁を利用することは、医療資源の観点からも非常に重要であると考えられます。

現在、大阪大学大学院医学系研究科外科学教室(心臓血管外科)では、この治療の保険適用に向けての医師主導型治験を計画しています。

※1 脱細胞化処理
組織から薬剤等を用いて、細胞成分のみを除去する方法をいう。細胞成分は完全に除去されるが、細胞骨格は維持される。この「骨格」を移植することで、移植された患者の細胞が「骨格」の中に入り込み、自己組織化が促進される。

※2 肺動脈弁機能不全患者
肺動脈弁の狭窄、閉鎖不全等の弁機能障害による心機能障害を有する患者のこと。

※3 レシピエント
移植手術をうけられる患者のこと。

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